麦ごはんに含まれるβ-グルカンの内臓脂肪低減作用を確認

【背景】
白米7対大麦3の3割麦ごはんの摂取が内臓脂肪を減らすという研究報告はあるが、比較対照に用いたのは白米ごはんで、大麦のどの成分が効果をもたらしたかまではわからなかった。※1 そこで、大麦の摂取による内臓脂肪低減作用が、主たる機能性成分であるβ-グルカンによるものかどうか検証するために、β-グルカンの含有量が多い品種「キラリモチ」とβ-グルカンを含まない品種「四国裸84bgl」を用いた比較試験を実施した。

【試験方法】
対象は腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上、BMI24以上に該当する30~70歳の男女100人。ランダムに2群に分け、各群それぞれに以下の試験食を1日2回、12週間摂取させた。
対照食群(bgl群):四国裸84号bgl 10%麦ごはん1パック 200g(β-グルカンを含まない)
被験食群(キラリモチ群):キラリモチ50%麦ごはん200g(β-グルカンを2.2 g含む)
1パックあたりの成分組成は表の通り。見た目には区別がつかないように加工した。

【結果】
解析対象は対照食群48人、被験食群50人。内臓脂肪面積は対照群で6.8㎠減、被験食群で10.7㎠減。両群とも試験前に比べて有意に減った(P<0.05)。群間差はなかった。内臓脂肪面積が100㎠以上の被験者に限って解析すると、それぞれ7.0㎠減、16.8㎠減で群間差が確認された(P<0.05)。



【考察】
両群で有意な内臓脂肪面積の減少がみられたのは、1日2回麦ごはんを食べる生活を続けることで、従来に比べて総摂取エネルギー量や他の食材からの炭水化物摂取量が減ったからではないかと考えられる。内臓脂肪面積が100㎠以上の対象者では群間に有意差が出たことから、1日4.4gのβ-グルカンの摂取は、過剰な内臓脂肪の減少に寄与することが示唆される。本試験はおそらく、大麦の摂取による内臓脂肪の低減作用を二重盲検で確認した初のエビデンスである。

【研究機関】
大妻女子大学、農業・食品産業技術 総合研究機構、西日本農業研究センター

※1 ルミナコイド研究 18, 1, 25-33, 2014

Effects of high beta-glucan barley on visceral fat obesity in Japanese subjects: a randomized double blind study
Nutrition 42, 1-6, 2017